皆さんこんばんわ。
いつもお付き合いいただきありがとうございます。

長年、袋小路のような迷路でうごめいてまいりましたが
どうにか 抜け出る算段がつきました。
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20年近く条件を絞り込んできていて 数年前、偶然に斑文と虹彩が出てしまいました。
ところが 「それが本当に曜変現象である」という
確証を得るまで さらに5年以上を費やしてしまいました。

と云うのは 回りも自分もかつて1,2度、合計長くても1時間しか本物を
見たことが無かったし(しかもガラス越し) 何よりも「曜変とはこういうものだ。」という
認識が無かったため 手にしているものが 何なのか もわからなかったのです。
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研究者にとっては誰しもこの抜本的な疑問は 避けては通れない大問題であるはずです。
(国宝を手元に置き 見比べて研究できる方はいないでしょうから)
最初は 勢い込んで 見た目の再現に縛られる方が普通だと思います。
やがて 功を焦って 「フェイク」に陥る方も出てきます。

それで納得している方は それはそれでーとも思いますが
(かつて私も ある研究者と話す機会がありましたが  頑ななまでに
「これしかないのだから これでいい」 という方でした。)
私は 内から湧き上がる疑問に 蓋は出来ない性質でした。

少し大げさな喩ですが 例えば数字の「0」を説明するのに
「何も無いこと」と 云ってしまうのは簡単ですが 
それで納得できない人間が確実にいます。

「見た目が同じ」であれば「再現」と考える人、
「再現とは原理に基づいた見た目である」と考える人。

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で 本当の研究者の置かれる立場は
「解答」への努力はもちろんですが、 
目的のものが「何なのか」という「設問」をも同時に 答えなければならない
という 板ばさみの状況になります。

結果、多角的に捉えるという姿勢にならざるを得ず
「これだ。これだ。」ではなく 「あれでもなく、それでもなく、これだ。」というように
押しなべて理解しなければならなくなります。
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「曜変現象だという確証を持った」 といっても それを「連続再現」することは出来ませんでした。

なぜなら いまだ窯任せの「窯変」の域を超えていなかったからです。

組成や焼成条件を 大枠では捉えたものの さらに変動要因の
回避や除去の技術的克服、
さらには 研究体制の持続などのやりくりなど
様々な負担を超えて (皆さんそれぞれ精進されていることでしょう)のことで
だいぶ時間がかかってしまいました。

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「虹彩」の主成分は鉄です。
1万分の1ミリの鉄化合物の粒子それぞれが決まった独特の配列で
整然と並んで膜を作っているのでしょう。(高精度の電子顕微鏡で確認したわけではないので)

* 「虹彩」の色の階調や色は鉄釉=天目釉独特のものになっており
   鉛や銀などとはその色彩を異にしますし 反射率もことなります。

* 虹色の色の違いは 粒子の密度、厚みの違いです。