生業として生活雑貨陶磁器の製造をしていましたが、

国内の景気低迷と東日本大震災で人員が確保できず

この部門は廃止を余儀なくされてしまいました。

かつての製品ですが半磁器製のマグカップ。過去のブログ記事に残っていましたので

懐かしいので再掲載しています。

見どころは、高台の形と「腰錆・こしさび」という釉薬とも化粧土とも違う顔料で

釉薬の掛からない高台周辺を給水防止コーティングする技法。

炭化焼成で茶金色にしているところがこだわりです。

写真でわずかに見える底の部分。本体は白磁のほうが飲料の色が鮮やかに見えよりよいのは

消費者のニーズですが、それはそれで何か色や模様もほしいとのニーズもあり、ろくろ引きで

手わざも加えています。

ろくろも回転させながら、呉須化粧土をした3分の1部分に施し、

その後、指で鎖文様を上下に2段、と呉須化粧ひっかきを施しています。

削りの高台作りでは平面直角に削り落とさず丸いかんなでえぐるように高台側面を削り

内側はそのカーブに合わせ反るように削っています。

施釉時には口縁に青い流れる釉薬を下釉薬の上から施しています。

テクスチャ―に変化を持たせ、高台の色との対比で全体を絞めて見せる意味では

(仮にボディーと同じ白色であったら、全体がぼけて安定感も出ず青と白のグラデーションや

釉薬ガラスのうるみの柔らかさも生きてい来ない。)

「額縁効果」を馬鹿にはできないのです。本体と額縁との対比と協調。

わずかしか見えなくとも高台が最も大事だとの思いです。

 

「用の美」という実用性と装飾は、爛熟期が終わり衰退し、使うことを制限、疎外するような装飾過剰状態=

装飾のためのキャンバスとしての器体としてしまっては、行き着くところまで行きついた、 一つの時代、価値観の終焉でしょう。

 

伝統から始まって、そこから生まれた技術が独立してしまうほど時間がたってしまった。

「用」についてはインダストリアルデザイン、機能性。「装飾美」についてはあまたの工業的加飾法で

事足りる時代。創作のキャンバスを生活用具に求めるのは限界。

「用」から離れた 表現芸術としての「窯藝」

独り語り、、。

 


閑話休題