静嘉堂文庫曜変天目と「金緑網目」

静嘉堂文庫曜変天目と「金緑網目」

曜変天目は 胎土由来の結晶表出ではありません。
また 希少金属による発色でもないことがわかっています。
検査で鉛や 銀の存在があれば 即刻アウトですね。

先日、BSである方の番組があったらしく、そのせいか このブログのアクセスが急に上がりました。
私はその番組は見たことありませんが
金属の反射光の違いは 接写して 釉面との照りの比較でおおよそ
見当がつきます。
人間の眼は金属合金に限らず 微妙な素材の質感を見分けます。
ライトを吸収するだまし絵に騙されることはあっても
太陽光が素材にあたった反射光には 素材情報も一緒に運んでくるのです。

例えば 純度の違い シルバー1000と950、さらに925を比べれば 歴然と違いますね。
それから 鉛のねっとりして沈んだグレーを帯びた銀色と 鉄の硬質な黒みがかった銀色。
アルミ、すず、亜鉛・・・。
色合いだけでなく当然、反射率≒まぶしさなども違いますね。

では よく偽物曜変天目に使われるブルーラスター彩はどうでしょう?
安価でガラス工芸に使われ ビー玉やおはじきにも使われる鉛ほかです。

本物の曜変を持ってきて比べればすむところですが
国宝ゆえ そうはいかない所が 混乱の納まらないところ。
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天目の魅力は
「烏サン」と呼ばれる透明感のある まるで「闇夜」のような真黒と
禾目、油滴班の銀色光の斑文の変化、
それらが織り成す ドラクロワ絵画の様な ドラマチックな光と闇のコントラスト。

そして 曜変の ローマングラス様の虹彩が角度によって変わるホログラム。

ポイントは三つ、
美しさ、
謎、
そして陰謀。

「真・利・美」を求める人間の業(性)ですね。
先人や後進のためにも 偽り無く 着実に成果を挙げたいものです。
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本日の「金緑網目」は
【低下度釉やラスター彩の焼付けによらず
高火度で透明な黒釉の表面に反射膜を作る】 技術系統です。

口縁部の釉薬が薄くなり金属光沢になった部分とは違った
偏光性(反射膜)を貫入部に持たせたもので 普段はめだたない貫入も
傾きを変えたり ライティングで 稲妻のような貫入模様の輝きが現出します。

後日、アップしますが裏面が 釉の片身代わりで透明黒になっていて
土見せの胎土部分が光っている 珍しいものです。

しかし、目の前に たとえほかに無い珍しいものがあっても
それが何であるか 把握できない人にとっては
美しいのかどうか 他人評判を聞かないとかいもく見当がつかないようです。
初めて見るものについては 大概の人はそうでしょうが
『眼』で食べてる人の場合、その人の心眼が問われます。
知識でものを見ず 感性が開かれている人は 自然とその前で足が止まります。

自分の経験と知識だけの物差しで 完了してしまっているに人は
残念ながら新しいものが 見えてこないようです。

まあそういう人はさておき 気づいた方から 新しいアートへと前進していきましょう。

【グレーズ・アート=釉藝】

今日も コアな内容にお付き合いいただき有難うございました。