褐色油滴班

既成釉薬に 「油滴釉」が数種ありますが どれも磁州窯系で 粘りの強い釉薬に鉄分が多い調合です。
斑文は赤黒~。
斑文を呈しますが 小さめで力強さが無く 薄い感じで 高温焼成では
周囲と溶け合い拡がって消えてく様な はかなさを感じます。

一方、建窯の方は 高温でもしっかりとし 一つ一つ象嵌したかのような力強さがあります。

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斑文の色が茶といえども 色だけで磁州窯系か建窯系のは分けられません。
確かに磁州窯系にこの茶色は無いにしても 焼成によるプラスαで出来る発色です。

解っている方以外では
今のところ磁州窯系か建窯系の客観的決め手は 「禾目」になるでしょう。

前者には「禾目」はできないのです。

建窯の天目かどうかは、油滴斑紋と禾目がおねじ施釉でできるかどうか ということではないしょうか。

油滴が流れて禾目になるのではありません。

禾目と油滴は同じ原理で生まれ釉薬も基本的には同じと考えています。

油滴天目の釉が溶け出し、
細い筋となって流下したもの。

あらゆる動物を食する中国では
兎の毛のたとえ『兎毫盞』ともいい、

草食文化の日本では稲穂の先端の尖った毛状の禾に似ているところから『禾目天目』といわれる。

要は、見た目は油滴だが 発生原因が違う のは わかる人しかわからないし
見た目は禾目だが 発生原因が違う のも わかる人しかわからない。

(画像で見る限り、現代中国産の油滴は結晶質のような気がしますが、少なくとも

静嘉堂文庫の重要文化財「油滴天目」については「結晶」ではないと思われます。

http://www.seikado.or.jp/exhibition/2016001.html

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「禾目は出るが 油滴は出せない」 または「油滴は出るが禾目が・・。」

原理がわかれば どちらも程よくコントロールできます。

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少しずつ 絡まった糸をほぐすように 裾野からじっくりご紹介していきたいと思います。
ジャッジがいないので 「論より証拠の積み重ね」---この姿勢でまいります。