鷓鴣班 油滴天目

「さすがは中国、『衣』食同源の国」

そう感じたのは
暗室にしまってある この作品に光が差したとき。

鷓鴣(シャコ)とは中国に居る鶉に似た、里にいて
よく食用にされる鳥だそうで 胸に卵型の白い斑紋が有って
胸の膨らませ方で 斑文も伸び縮みして見えるようです。
また林や茂みの暗がりで 瞬間、峻別する特徴にもなっているようです。
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天目には他に 兎毫(とごう)が有り こちらは野兎の毛を意味しています。
家畜ではなく  毛も太く 毛並も荒いところが 「鷓鴣班」同様、
食生活に密着した表現で 実に端的に言い表しています。

質感、模様を その動きをも含めて
直感的に 的を射ています。

ちなみに日本では鷓鴣班を油滴(ゆてき)、 兎毫を禾目(のぎめ)といいます。

肉食の中国のたくましさ、
対して
「油」も菜種など植物系でしょうから
日本の草食文化が 比較されます。

「名」 とはその生活文化の奥行きから来る「昇華」なのですね。

「作品」も 同様、作者の人生そのものといえます。