「ジプシー・アイ」

「天目茶碗」の名の由来は、
「鎌倉時代に禅宗が盛んになり、中国禅宗の中心の
浙江の天目山に留学した修行僧が喫茶方法とともにを日本に持ち帰った事から、
黒釉茶碗を「天目」と呼んだそうです。
 「天目山」の名の由来は山頂に二つの池があるからと聞いています。

 そこで当方は「天目碗」を「天の目」として解釈し、
「山の頂の高いとことにある」という解釈から、
「その目を通して天下を俯瞰する」「見方」「見え方」「視点」ととらえて
創作とネーミング方法としました。
「名は体を表す」のごとく、視点とネーミングこそ
創作のモチベーションに方向性をもたらすのに最重要です。
 こと、「釉藝」と名付けたこの分野において、
研究、実験で生まれた新しい質感と色を用いて創作をしようとするとき、
原動機は目の前の研究成果から得られる霊感から始まるのがほとんで、
本来、霊感ありきの他の芸術とは異なるのではないかと思います。
 しかし、ゲーテなどのように朝の散歩から、
または何か自然界やその他外部、又は内部のメンタル面、及びその相乗効果から
インスピレーションが湧くことが創作者の常であり、閃きを得て創作が始まることに
違いがないのですが、
こと「釉藝」の場合には、これまでなかった「質感、色合い」の発明から創作が始まり、
更に発明を重ねていく点で、これまでになかった新しい分野の創作とも言えます。

 「陶芸」というジャンルから派生し、いわゆる「用の美」所以の形から離れ、
視覚伝達という純粋芸術の領域に昇華させた「釉薬藝術」は、
土と釉薬ガラスと金属の光と結晶、炎の物理現象によって 言い換えれば、
土をキャンバスとし、地球資源を絵の具にし、焼成炉を筆として、これまで人類が見たことのない
「新しい質感」を表現とする、新しい芸術分野を切り開いていくことになります。

 そこには、およそ造形技術を蔑ろにし、土と釉薬の調合、施釉技術、焼成技術の
先駆的、先端的発明、発見がベースになります。

グリーン・アイ